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自転車旅を含む「旧ガイド日誌

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  ガイドの山小屋は「パタゴニア」のサポートをいただいております 

オーストラリア 自転車の旅

そこは、灼熱地獄だった。

Stuart Highway 3080km 

オーストラリア大陸縦断 チャリの旅

2006年10月下旬〜12月中旬

 

19世紀、オーストラリア大陸内陸部は未踏の地で、内海があると考えられていました。

多くの探検隊がときに全滅するなど失敗を繰り返しながら踏査の挑戦が続きます。そしてついに、その未踏の大陸縦断に探検家、J・M・スチュアートが成功します。

スチュアートがラクダ隊で踏破したそのルートは、現在スチュアート・ハイウェイと呼ばれています。(「恐るべき空白」から)

暑さに耐えきれず、大陸縦断鉄道の線路下に埋設された土管に身を隠す私


Stuart Highway 3080km 

 INDEX 目次

 TOP PAGE 旅の準備

 [1] 第一週 

 [2] 第二週 

 [3] 第三週

 [4] 第四週 

 [5] 第五週 

 [6] 第六週

 [7] 第七週 最終週 旅のおわり

 

初掲載から10年を経てもなおアクセスが多いページですので再掲載いたしました。

歳月を経てRHの閉鎖や新設など多少の変更はありますが基本的にアウトバックはいまもアウトバックのままです。

大陸縦断の旅の準備に少しでもお役に立てれば幸いに存じます。

2018年8月 ガイドの山小屋オーナー

〈DATA〉

MTB :ゲイリーフィッシャーマウンテンバイク「フクイク」(一部改造) 2005年製 単体重量12kg

携行品:テントをはじめとする完全装備 燃料 食料 レインギア ヘッドランプ テルモス コンパス 個人装備 ファーストエイド…など縦走登山をベースにした装備 他に地図 2種類(英語) 資料数点(英語) 辞書 筆記具一式  交換部品とメンテナンス用品 防水デジカメ ボーダフォン携帯電話 ニッケル水素電池充電器や変換プラグ等 またMTB関連のヘルメットや手袋 GPS等 部品、補修用品、工具 サブザック ダッフルバッグ 輪行バッグ等

パッキング方法:サイドバック4個 合計容量約160L  他に大型ウェストバック10Lをハンドルバッグとして使用 荷物はすべて4つのパックに収まるよう心がけている。

重量 :

バイク本体+オプション部品  約15kg

装備 約20kg 

食料10kg、飲料水17ℓ  

合計総重量 60kg前後 

参考資料:【ガイドブック】ロンリープラネット「オーストラリア」ご存知あの分厚く巨大な辞書のように活字と文字ばかりのガイドブック。情報は「地球〜」の数倍!【オーストラリア道路地図】「Discover Australia Handy Atlas(Hemamaps社発行)」シェアNo1の信頼の道路地図。大きさもいろいろ選べる。 【ハイウェイ情報】「Highway Guide Around Australia(Highwayman Productions社発行)」休憩所情報が詳しい手作りガイドブック。ウォータータンク(水)有無の情報入手はこれのおかげ。他にロイヤルオートモービル協会RAA発行ガイドブック、南オーストラリア州政府発行ハイウェイガイドなど

【文芸・DVD】「熱風大陸(椎名誠著)」やや大袈裟で劇場的。あまり参考にはなりません…、「恐るべき空白(アラン・ムーアヘッド著)」19世紀の豪内陸探検の記録、「水曜どうでしょうDVD・サイコロ2 オーストラリア大陸縦断(HTB&オフィスキュー発行」)ご存知水曜どうでしょうのDVD版。実はこれが意外と役立った。

オーストラリア連邦:首都キャンベラ 英国連邦 国家元首エリザベスU世 議会制民主主義 首相ジョン・ハワード 人口約2千万人 面積は日本の21倍 多民族国家 公用語は英語 3つの時間帯がある。10〜3月はサマータイム 治安は日本よりも良い

通貨:オーストラリアドル(AU$) 国内経済は非常に好調。近年は為替レート上昇により 対円相場は10年で約2倍に。現在、$1あたり90円前後でなお上昇中。

道路交通:英国、日本と同じく左側通行 市街地の制限速度50〜 80km郊外110km、NT州では郊外の速度は無制限 国道はハイウェイ、自動車専用道はモーターウェイと呼ぶ 有料高速道路はない 自転車も車やモーターバイクと同等に扱われ車道通行の義務があり道路交通法の遵守が求められる例:右折時の車線変更 一時停止等 また自転車はヘルメットを被らなければならない


続き 第一週[1]へ

はじめに

1994年3月、スチュアートハイウェイ。

故郷の北九州から遠く離れたSA州マーラの北5kmで力尽きた君に、

心から哀悼の意をささげます。

僕が無事に完走できたのは、君が天国から送ってくれたメッセージのおかげです。

ありがとう。

今ごろ天国で、冷たいお水を浴びるほど飲んでいるんだろうね。

(僕の声は届いただろうか?)

それから、何人ものオージーから受けた数々の善意、親切。

黙って大きなマンゴーの実を投げてよこしたトラック運転手。

まるで息子を迎えるように大きな手を広げて肩を抱き、桃をたくさんくれた女性。

熱風に耐え切れず、道路脇の地面に寝転がっていたら慌てて飛んできた白人青年。

いきなり「ビール飲もうや!」といいながらピックアップトラックを停めた牧童の兄弟。

そして、最大の恩人、御用聞きのニック。

陽気なイタリア人ドミニクとそのガールフレンド。

その他、たくさんの善意の人々。陽気なオージーたち。

みなさんの親切は本当に本当に身に染みました。

それから、日本から応援してくれた友人たち、

喪中ハガキの心配までしていたという、ちょっと気が早い僕の家族、

みんなほんとうにありがとう。

2006年12月20日


アウトバック・イントロダクション

旅行の計画と準備、砂漠縦断の準備

(金額については1豪ドル100円で計算しています)

 

写真:シンプソン砂漠

旅の季節 10〜12月

オーストラリアの10〜12月は夏です。内陸アウトバックでは猛暑に見舞われます。

さらに、北部ノーザンテリトリーは12月〜2月は雨季、激しい雨の季節 です。

この前後は1年で最も暑い季節です。

この時期の気温と主な風向き、気候区分は次のとおり

 

●ダーウィン 25〜38℃ 北東の風 熱帯雨林気候 ※密林多し カンガルー多い

●キャサリン 25〜40℃ 北東の風 熱帯雨林気候 ※やや乾燥 小さいけどあか抜けた町

●エリオット 25〜44℃ 東の風 サバンナ気候 ※乾燥目立つ めちゃめちゃ暑い

★タナミ砂漠(エリオット〜アリススプリングス)大小の岩、潅木とブッシュまばら 暑い

●テナントクリーク 20〜50℃ 南東の風 砂漠気候 ※大小の岩と潅木 めちゃ暑い

●アリススプリングス 20〜45℃ 南東の風 砂漠気候 ※大小の岩とソルトブッシュ 町!

★シンプソン砂漠(アリススプリングス〜マーラ)大小の岩、まばらなブッシュ

●クーバーピディ 18〜50℃ 南東の風 砂漠気候 ※大小の岩と赤い砂 前後のRA遠い

★グレートビクトリア砂漠(マーラ〜ポートオーガスタ)岩礫と赤い砂、まばらなブッシュ

note: このあたりは飲み水(地下水)に塩分が多く含まれる

●ウーメラ 15〜45℃ 南東の風 砂漠気候 ※周辺には塩湖が多い 気候に変化現る

●ポートオーガスタ 15〜35℃ 南の風/北の風 地中海性気候 ※気候が穏やかになる

●アデレード 15〜35℃ 南の風/北の風 地中海性気候 ※おだやかな気候、交通量激し

 

避けたい季節

ご存知のように自転車旅に適した気温は20〜30℃です 。スチュアートハイウェイでは7月8月が真冬に相当し、日中の気温は30度前後になります。ただし著者が旅した10月〜12月は真夏にあたり、自転車旅には不適です。

検索等でこのサイトを訪れた方のなかにはアウトバックを自転車で旅しようと計画している方もいらっしゃると思いますが、10〜4月(夏季)は避けられることをおすすめします。周知のように人間の体温は36〜37度、人体が体温調整機能を正常に働かせられる範囲は周辺気温が42℃以内ということになると考えられます。それ以上になると決して「根性」とか「忍耐」で何とかなるというものではありません。私たちは生きた人間なのですから。

外気温が体温を超えて気温38℃あたりになるころから急激に給水量が増えます。体温を調整するために1時間あたり1〜1.5リットルくらいを消費するようになります。喉の渇きを自覚する前に積極的に給水して半強制的に水を飲まなければ到底間に合わなくなります。正午ごろに小便が出れば合格ですが、小便が出ないようならあなたの体は確実急速に脱水症状へと向っており、午後の気温45℃、直射日光下50℃以上の条件に至ったとき、ふいに動悸や不整脈を感じ、あるいは意識の混濁などを覚えるようになるでしょう。景色に色を感じなくなったり幻覚を見たりします。これが熱中症による重大な脳障害の初期症状です。

ただちに休止して何とかして日光を遮り、塩分を摂り大量の水をまなくてはいけません。意識を失うまえに、これらを何とかこなします。

やがて記憶が途切れ、あなたは眠ります。2、3時間して目覚めたら、おそらく午後3時くらいでしょう。相変わらず気温は45℃前後をさしていますが日光は多少穏やかになります。そしてあなたは自分が生きていることに安堵します。

連日こんな状況で正常で楽しい旅が続けられますか?死に急ぐ方か、限界に挑戦したい方以外は、この季節は避けるべきと考えます。この季節、地元の自転車旅行者はほぼ皆無で、下調べと準備不十分の者がまれに蒼い顔をして走ってくるくらいです。1ヶ月に5人もいないでしょう。ちなみに僕が出会った自転車旅行者は10〜12月の7週間でわずかに三人。10月上旬、まもなくゴールのダーウィンに到着する2人、11月は0人、12月上旬に下調べ不十分でやってきて断念寸前の蒼い顔をした大学生一人。これだけです。

気温は確実に毎日40度を超えます。これはチャリダーにありがちなホラ話や誇大表現ではありません。本当に、現実に、アウトバックでは気温は毎日40度を軽く超えていきます。

(なお、ナラボー平原や東海岸はこの限りではありません。はるかに穏やかな気候です)

旅のベストシーズン

アウトバックの自転車の旅に適した季節は7〜8月。この季節になると大陸縦断道路スチュアートハイウェイには世界中から自転車旅行者がやってきて、どこのキャンプ場、レストエリアでも彼らのテントが見られ、とても楽しいといいます。この季節の気温は10〜35℃。日本の夏とほぼ同じになります。きっと楽しいでしょうね。

 

灼熱の砂漠

追記:アウトバックの町は砂漠のなかのオアシスです。この周囲にだけは樹木があり、草があり場合によっては街路樹の下ではスプリンクラーによる打ち水がされていたりします。ですから町は気化熱効果で幾分穏やかに感じられるものです。この条件下で木陰の風通しの良いところで測られた「気温」が気象情報で発表されています。

ところでその町を1キロ離れたらどうなるでしょうか。周辺は砂礫の荒野が広がるばかりの360度地平線の向こうまではるかな砂漠。そしてハイウェイはアスファルト舗装です。焼けた岩と砂、さらにアスファルトの放射する熱の真っ只中に我々プッシュバイカーは進んでいくわけです。

ですから、気象ニュース発表の気温が41度だった日、実際に私たちが晒される気温は2〜5度ほど高くなります。おまけに風向きによっては熱風が吹きます。まるでドライヤーのようです。まさに灼熱地獄。それ以上でもそれ以下でもありません。ともかく水がなくなったら足早にやってくる死を待つか、誰かの救助を待つしかないのですから・・・。

ルート1

北半球が冬へと向うこの季節にしか長期の休みが取れないため、MTB旅のルートはおのずと限られてきます。MTB旅に最適な気候を探し求めると、やはり南半球。さらに英語圏なら・・・。よって 今回の僕の旅は、オーストラリアになりました。

10〜12月のオーストラリアの季節は夏。内陸部の気温は連日40度を上回ります。そのことにはあとで気付くことになります。初日から最終日まで7週間以上、まったく雨が降ることはありませんでした。僕が目の当たりにしたのは、恐るべき乾燥です。

ルート2

四国で生まれ育った僕。なんとなく形が四国に似ているのでオーストラリアが気になります。はじめてのオーストラリア、まずは真ん中をスパッと行ってみよう。特に深い意味はありません。 ただし、あとでえらい目に遭いました。予想を遥かに上回る過酷さでした。

旅の予算

全部でだいたい30万円です。エアは国際線11万円、オーストラリア国内線200ドル(2万円)、生活費は1日平均30ドル、50日で1500ドル(15万円)くらいになります。

(追記:最終的に予算を大幅に上回りました。オーストラリアは現在バブル景気真っ只中で、物価は高騰中。為替レートも最終的には100円くらいになります。おまけに内陸は全ての生活必需品が非常に高価。たとえば牛乳1ℓ500円など。)

お金の持ち方

米ドル、クレジットカード2種類を分散して持ちます。両替は最寄りの町の銀行で交換しています。銀行は交換レートが安定していますが 空港では手数料が高く、観光地の両替所にはボッタクリのところがあります。日本語で「両替」と書いているところなど1ドル5円以上も高いこともあります。 クレジットカードが最もお得でした。

※現在では数枚のクレジットカード、日本円を分散して所持しています。

※最強クレジットカードはvisaです。アメックスやダイナースは使えないことがあります。

物価

よく「外国は物価が安い」といわれますが近年は、そうもいえなくなってきました。実際、オーストラリアを例にあげても1990年代には1豪ドル50円台だったものが現在では90円前後、 交換手数料を加えると1豪ドルが100円になってしまいました。物価も勢い上昇中です。 ガイドブック記載より5ドル10ドル高いのは当たり前といった有様。おまけに食料品や精肉さえ割安感がまったく感じられません。 2006年12月現在、物価は日本の大都市部と同等か、むしろ高いようです。

保険

クレジットカードのオプションを利用しています。(アメックスとダイナース)

医療オプションはアメックスが優れているような実感があります。

ガイドブックと地図

@ロンリープラネット最新版(英語)

Aローカルのガイドブックとロードアトラス(ロードマップ)

B地球の・・・は役に立たない。ただ重いだけ。

宿泊などおおまかな情報はロンリープラネットや州の自動車協会発行のガイドブックで、あとは現地のインフォメーションを利用したり本屋で立ち読みをしたり、気に入ったら買いま した。道路地図は現地で購入しました。日本では詳しいものは入手不能ですし選択の余地がまったくありませんから現地での購入がよいと思います。

英語のガイドブックはおすすめ。案外難しい英語は書かれていないもので、英語が苦手な僕でも意外と抵抗なく読めます。情報がきめ細かいので利用価値大です。

本屋で見つけた「ハイウェイの休憩所ガイド」などは大変重宝しました。水タンクや日よけの屋根の有無という情報は非常に貴重でした。

持ち物

一般的な縦走登山と基本的には同じです。着替えは2日分、クロージングでコレが最も重要!と思うものはパタゴニアのアンダーウェア上下なのです が、この季節のオーストラリア内陸に限っていえば不要でした。暑過ぎたのです。同じくパタゴニアのストームジャケット は防寒からタウンユーズ、雨合羽まで、すべてこれ1着で兼用できるためいつも大変重宝 するのですが、飛行機の中と帰国後にのみ重宝しましたが現地では仕舞いこんだままでした。つまり雨がまったく降らなかったのと暑過ぎたからです。

また今年は火器の燃料をどうするかで悩みましたが、車のあるところガソリンありということでMSRの灯油や自動車用ガソリンを使用できるストーブを あらたに購入、これで正解でした。

バッテリー関係はいつもどおり、カメラからヘッドランプ、GPSまですべて単4充電電池で統一しており充電で繰り返し使用しています。

スリーピングバッグ

羽毛の寝袋です。キャンプだけではなく一部の寝具のない安宿でも寝袋が必要です。羽毛の寝袋、つまり羽根布団は暑い夜も肌寒い砂漠の早朝にも快適で 重宝しました。インナーシーツ(場合によって安宿でも必要)も併用します。なおテントを使わないブッシュキャンプのときはシュラフカバー がほしいと思いました。かさばるため僕は滅多に使わないのですが、今回は欲しいと思いました。風が強い日など、赤い砂で大変なことになります。

防犯1

現金は分散して持っています。パスポートは防水のうえ腹巻状のベルトで肌身離さず持ちますが、これ意外と根気がいります。シャワーを浴びるときでも目の前にぶら下げています。 キャンプ場、安宿で泊まるときは置引やコソ泥が非常に多いので要注意です。自転車バッグはダッフルバッグにまとめて放り込んで南京錠で施錠します。それでもコンセントから充電中の電池と充電器を盗まれないか、いつも冷や冷やしています。その充電器は マジックで汚く塗っていますが、それでも心配。

先述のマネーベルト状パスポートケースですが、丈夫なストラップのベルト+バックルのものがいい ようです。ゴムベルトはいつの間にか外れていたりします。

防犯2 盗まれた!

バックパッカーやYHA(日本でいうユースホステル)には共同キッチンがありますが、そこでは食料品を頻繁に盗まれました。名前を書こうが袋に入れようが、あっと言う間に盗まれていきました。

ビールは絶対に冷蔵庫に入れてはいけません。盗まれるまでに1時間もかかりません。悔しい思いをしました。

肉は一度に食べきる量を買うか、下ごしらえなど何かしら手を加えておきましょう。

牛乳や100%オレンジジュースには汚く落書きして不潔さをアピールします。そのまま置いておくと、見るたびにマグカップ1杯分ずつ減っていきます。

玉子はともかく厳重に梱包して、玉子であることがバレないようにします。

野菜は、盗まれることをある程度覚悟のうえで。

米は、盗まれません。

すべてのものには名前を書くのは常識ですが、無駄です。出来る限り自衛しましょう。

防犯3 キケンでかっこわるいウェストバッグ

ついでなので「ウェストバッグ」について。あれはやめたほうがいいです。大型バスがやってくるような有名観光地では「俺たちウェストバッグ軍団」なる異様光景に出くわすことがあります。チノパン、登山シャツっぽいやつ、トレッキングシューズにウェストバッグ。これだけ揃えば間違いなく日本人団体です。あの中には間違いなく1個あたり20万円以上の 現金が入っているはず。それをアピールしているようなものです。そもそもカッコ悪いし危ないのでやめたほうがいいです。

防犯4 女性のリスク

残念なことですが、僕の滞在中にも日本人の女の子が集団暴行の被害に遭い病院に搬送されるという痛ましい事件がありました。

特に、先住民族アボリジニの居住区に近い北部や内陸の町では夜間の一人歩きは非常に危険です。女性はレイプされ男性は金銭を奪われます。彼らは集団でやってきます。運が悪ければあなたは命を落とします。はっきり言います。アボリジニの人口が多い町では、夜間は非常に危険です。人種差別云々の綺麗事など、ここでは一切通用しません。それが現実、実際にここで起こっている事実で す。自分の身は自分で守るしかありません。警察はあてにはなりません。なにしろアウトバックでは九州と同じくらいの面積をたった三人の警察官で担当しているのです。

また豪ではひとりで男性の部屋に行くことは暗にセックスをしにいくという意味です。

ゲイも多く、若い日本人男性はモテます。なかには襲われる人もいるようです。自分がイケてると思っている方は女性も男性もどうかお気をつけて。

航空券

まあ、いろいろありますが、ジェットスターの手荷物はよく行方不明になるので、LCCも考え物です。かえって高くついたりします。

多少のリスクを覚悟のうえなら安さを追求するのもいいでしょう。そういう方は英語がんばれ。

コールセンターのインド訛りの英語もシングリッシュも大丈夫というアナタならば、勢いと根性できっと何とかなります。

言葉1

言語は英語です。とにかく必要です。

「どの外国にいっても日本語が通じる」などと堂々と言ってのける方がいますが、それはあくまで団体旅行ご一行様に限ったこと。当たり前ですが 、いったん外にでたら日本語は一切通じません。

「何週間も日本語と隔絶する」ことが当たり前です。

そのため誰でも必死で英語を喋ろうと努力するようになります。そうしなければ生きていけませんから。自転車を漕ぎながらも「こういうときは何て言えばいいんだろう」と考えながら走るようになります(僕の場合) 。したがって否応なく短期間で随分と語学力はアップします。英語が苦手な僕でもなんとか通じていますが今でも電話が苦手です。

ただし例外もあります。怒るときは日本語で怒鳴ります。なぜか通じます。不思議です。

言葉2

英語に自信のない僕は最近まで辞書と小さな英会話ブックを持っていました。

しかし今年から電子辞書1冊に一本化しました。微妙な表現や例文が少ないのが気になりますし 、もし雨に濡れたり故障したら?とも思いますが、とりあえず軽量化にもなり、今回に限っては成功でした。

一口にオージーイングリッシュといってもいろいろあります。東海岸出身のひとは訛りが少なく、聞き取りやすい傾向があるようですが、内陸アウトバックはちょっと・・・。

10分以上立ち話をして、全然何のことかわからなかった、なんてこともありました。内陸のオージーイングリッシュは東北弁か鹿児島弁に匹敵すると僕は思うのです。

ぜ〜んぜん、わかりません。

オーストラリア人気質

ともかく気さくな人が多いです。

他人同士でも旧知の友人のような接し方をする方も多いです。面倒見がよく、世話好きです。

困っている人を見て見ぬフリは絶対できないといったふうです。(アウトバックの人々は)

ただし地域差があります。パースなど西オーストラリアは露骨な差別を感じる機会が多々ありました。

白人に限らず各国の移民が多く、いろんな人種があり、意外と旧出身国のアイデンティティを大切にしている人が多いと感じました。たとえばイタリア系移民の2世のドミニク氏は南オーストラリアで生まれ育ったそうですが、自分はイタリア人だと主張し、奥さんもイタリアからもらっていました。そのほか英国系やソマリア人、中国系移民、南アジア(タイ、ベトナム、マレーシアなど)移民など、それぞれに特色がありました。

アウトバックで日本人差別を感じたことはありませんが、内陸の大牧場にはアジア系のオーストラリア人はいませんでした。牧場主も牧童もパブの経営者も商店主もかならず白人でした。牧場の下働きにはまれに東洋系やアラブ系あるいはアボリジニ系の顔を見ることもありました。

陽気で世話好き話好きのオーストラリア人。ちょっと太めの人が多いようで、アメリカのテレビ漫画の「シンプソン」のお父さんみたいな土偶体形の人が多いです。そしてみんな幸せそうです。

陽気なオージーたち。もうちょっと真面目に働いたほうがいいかナー、なんて思うこともあったり。労働はお嫌いな方が多いようで。

感情表現がストレートです。男は女の子と知り合うとすぐにヤリたがり、女の子もまた、ヤッてから仲良くなるのが普通、みたいな考えをしている?ような・・・。日本の 恋愛系ドラマなど理解不能。草食系など意味不明。彼らは基本的に野生動物のよう。女の子の服装にも気質がよく現われています。

オージーの多くは他人に世話をやくことに何の見返りも期待しないし、まして困っている人を助けるのは当たり前じゃん、みたいなことを陽気に平然と言ってのけます。

何度、ビールや果物をもらったことか。

オージーには本当に本当に感謝しています。

健康

虫刺され薬やビタミン剤、日焼けケアの薬などは現地の薬局で購入します。常備薬は持参します。僕の場合は花粉症の薬と正露丸を日本から持参し、あとは現地購入しま した。持参する薬には税関で麻薬ではないことを説明できるよう英語のラベルを作って貼っています。 正露丸はちゃんと説明しないと怪しい薬と思われてしまうかもしれません。

シャンプーや髭剃りなど衛生用品も現地調達でいいと思います。

日焼け止めは日本から持参しました。ものすごい紫外線ですが、オーストラリアの薬事法で市販の日焼け止めはRH30までなのです。絶対、RH50が必要です。豪州の政府広報によると毎年たくさんの方が皮膚がんで亡くなっているそうです。サングラスも必需品です。

感染症

州によりどんな風土病があるのか事前によく調べる必要があります。マラリアやツツガムシ病、肝炎などが見られます。サソリ、火アリがいます。またコレラや寄生虫病など の原因の多くが飲み水から感染します。ともかく水に気をつけることです。元気なときには生水を飲んでも平気だったタフで頑丈な方が、ちょっと体調を崩したときにいきなりコレラに感染する、なんてことは南アジアでは日常茶飯事だといいますからここでも同じことなのでしょう。

ただ、僕は背に腹は変えられず、雨水タンクの水を生のまま使用しましたが、今日に至るまでとりあえず平気です。しかも水道水より旨かったです。水道水は安全だといいますが、土地によっては非常に不味いところもありました。内陸には塩分の混ざるところが多いように思います。

血液感染について。どんなことがあっても他人の血液には触れてはいけません。嘔吐物も同様です。自分の身は自分で守るしかありません。 この国でもエイズの感染率は決して低くはないようです。

豪は男女の異性交渉が日本と比べて極めてルーズです。また同性愛が公認されているためレズやゲイの方も多くいらっしゃいます。そのため異性との交遊 において、こちらが意図するしないに関係なく、万一に備えて性感染症を防ぐ最後の手段を怠ってはいけません。どなた様でも旅の常備薬にコンドーム は必需品と考えます。エイズはごく身近に存在します。日本の常識は通用しません。

水 (重要)

最低でも1日10ℓ。

気温が40度を超えますから、これでも不足すると思われます。

45度を超える場合は15ℓ。

ブッシュキャンプ(ビバーク)の可能性がある場合は20〜30リットル。

ただし気温35度以内と涼しい日は5リットルくらいでもいい場合もあります。

ウォータータンクの水は煮沸が前提ですが、僕をはじめ多くの方が「大丈夫!」と証言していますが…。どうなんでしょう?ちなみに「そのままでは飲めません!」という看板が立っていますので自己責任で…。

僕は最高で1日12ℓを純粋、完全に飲み干した日がありました。

ポリタンク1個分の水を持ち歩くことが理想的といえます。

ともかく、水、水、水の毎日です。水がなくなれば死にます。死はすぐ近くにあります。

自転車

自転車は日本から持参しました。国際線の荷物制限20kを超えてしまいます。それでも持って行ったほうがいいと思います。買えば高いし、望みどおりのものは手に入りません。アウトドア用品も日用品も自転車も日本で買うほうが安いし豊富です。

MTBの部品は現地で容易に入手できます。少々高いですが重いので現地で買ったほうがいいです。なお700cタイヤはやや入手が困難です。

標準的なタイヤチューブは使い物になりません。予備も含めて現地で分厚くて重たい超ヘビイなチューブに交換しておきましょう。そうしなければあとで後悔します。

宿泊

オーストラリアでは

「馬やラクダで1日歩けば次のパブに辿りつく」

を原則に奥地の開拓が進められました。

自転車の速度は馬に近いので、自転車旅は合理的といえます。

開拓の精神を今でも色濃く残しているNT(ノーザンテリトリー)州で50〜100kmごと、

SA(南オーストラリア)州では100〜300kmごとにパブがあります。

パブは現在、ガソリンスタンドと売店、簡易的な宿泊施設を併設しています。宿泊や簡単な食事が提供されることがほとんどです。キャンプ施設もあります

パブのあるところは町や集落とは限りません。

人口0人で砂漠の荒野にパブが1軒だけ、というところも珍しくはありません。

井戸もしくは泉があり、砂漠のオアシスです。ここで水の補給を逃すと、もう先には進めません。必ずいったん羽を休めましょう。

基本的にキャンプ場には水もシャワーもあります。キッチンはないことも多いです。5〜20ドル。パブ周辺がキャンプ場です。

キャンプ場以外の場所でキャンプするのは違法だったり危険だったりします。

ハイウェイの休憩スペース(レストエリア)は比較的安全なようです。

ブッシュキャンプ (原野での野営)もアリですが、それはあくまで非常の場合のビバークと考えたほうが良さそうです。

日本でよく見られる「駅寝」や「バス停寝」 をするのはここでは旅に不慣れな方がすることです。これは非常に危険な行為で、施設建物の軒先で寝ることはいつか必ず命を落とすと思われます。

僕は基本的には宿を探しましたが、すべて現地での飛び込みでした。

大抵何かしら見つかります。前述のようにパブにはまず間違いなく安宿が併設されて おり敷地内でキャンプが可能な場合が多く、部屋もバックパッカールームからモーテルユニットまでさまざまです。1泊20〜100ドルくらいです。

テントは非常用くらいの気持ちで。しかし必ずテントは必要です。300km四方何もないところではテントが頼りですし、週末などはパブの部屋が全部埋まっていることもあります。

ここでは「パブ」と表記していますが、現在ではロードハウス(RA)と呼ばれていてパブのほかにガソリンスタンドと清涼飲料水のほかハンバーガーなどがテイクアウトできる売店が兼ねられています。パブは非常に個性的で楽しいところが多くてアウトバックの旅の大きな楽しみのひとつです。NT州のパブの多くはウェスタンな雰囲気が濃厚で、まるで映画のシーンのようでした。

食品

すべて現地調達です。

パブのあるとこ人のいるところ食品あり。ただし菓子とジュースしかないところも多いです。僕は1週間〜10日分の食料を常備していました。 パンや米、しょう油は比較的難なく手に入ります。新鮮な野菜や肉類は奥地 では入手困難です。価格は町の1,5倍から3倍と超高価!これには参ります。奥地では牛乳よりもビールのほうが安いことも多いです。

治安について

いろんな捉え方があると思いますが、治安は日本と同等です。

ただしコソ泥が多いので身の回り品には気をつけています。僕は男性なので心配ありませんが女性の場合はナンパに気をつけたほうがよさそうです。日本の場合、車に乗せてもらう、部屋に遊びに行く、くらいでは何 も気にすることはないものですが、豪では女性は男性の車に乗るだけでセックスの合意と考えられているようなふしが確かにあります。

防犯の項目で触れましたが、アボリジニ居住域では夜間は厳重な警戒が必要です。

あとは自己責任です。

ドラッグ

大麻が一般市民にも広まっていて公然と使用されています。最初は驚きましたが、本当にタバコのように吸われているのでそのうち慣れてしまいます。

合法の州もあるそうです。NT州では合法だと聞きましたが、本当かどうかはわかりません。

ティーンは言うまでもなく、小さな子供をもつお母さんから爺さんまで、愛用者は広く、これはちょっとオーストラリアのマズイ面ではないかなと感じました。

僕も仲良くなったイタリア人の女の子(すごく可愛い!)に薦められたことがありましたが、タバコさえ吸わないものだから断りました。回し飲み(吸い)が仲間の証しなので、ちょっと躊躇したのですが・・・。どんな味なんでしょう。そんなに美味いか??

ちなみにダーウィンのYHA(ユースホステル)では、連日連夜、ユースの廊下でマリファナ回し飲み大会が行われていました。ここは、どんな国やねん!?

宗教 イデオロギー

宗教やイデオロギー、戦争の話題は避けるべきです。

鯨の話もNGです。

日本からの予約 宿泊や交通機関

インターネットで現地の宿や国内線のエアを日本から直接予約購入することができます。

ジェットスターやバージンブルーは日本でいうスカイマークエアラインズのような格安航空会社 で、きっと大手路線の半値以下でチケットを購入できるでしょう。

またYHAはじめBprもインターネット予約できるところが多くあります。

予約をしたら予約票を印刷して持参するといいでしょう。iphoneよりも紙のほうが印象が良いです。

面倒な英語でのやりとりをせずに済みます。ただし予約時にはクレジットカード情報の入力を求められるので、無断でキャンセルしても代金を引き落とされます。

携帯電話

ボーダフォン(ソフトバンク)に代表される国際ローミングサービス対応の携帯電話を持っていれば日本で使用している携帯電話をそのまま持っていって使えることになっていますが、オーストラリアの内陸砂漠地帯ではほとんど宝の持ち腐れ状態です。 仮に使えたとしても、通話もメールもコストがあまりに高すぎます。着信にも課金されます。(例:着信メール100円)

このへんが解決されないと、ちょっと使えないかな?と思います。お守り程度と考えるべきかと思います。

また、小さな町では通話はできてもメールの送受信はできないことも多くありました。すべての機能が使えるのは大都市に限られます。

オーストラリアの場合、携帯電話は現地で契約したほうがいいと思います。内陸に関していえば、オーストラリア最大手のテレストラ系列の携帯電話が良さそうです。砂漠の町やパブで携帯電話で話している牧童を見かけることがありますが、彼らはテレストラの携帯電話でした。

※現在ではほとんどの携帯電話が使用可能です。2018年

そのほか

荷物の軽量化については苦心していますが、いまだ答えには至っていません。10g単位での軽量化の積み重ねです・・・。 荷物は日ごとにじわじわ増えていきますから。

いろんなこだわりの人がいるもので、たとえば部品を多く持つ人がいたり、意図的に大きなテントを持つ人もいます。

代表的なのはギターをもって旅する人。これは全然珍しくありませんが、なかには調理具にこだわる人もいます。本をたくさん持つ人もいますし赤ちゃんを連れて自転車旅をする人もいると聞きます。 ファイアーダンスに使うたいまつを持って旅する日本人プッシュバイカー(自転車旅行者)に会ったこともありました。ファイヤーダンス・ソウタは無事に完走したでしょうか。

何が理想的な旅のスタイルのかは人それぞれだと思います。僕の場合はなるべくシンプルな旅になるよう心がけています。

 

まだまだ不十分ですが、ある程度のオーストラリア内陸・アウトバックのイントロダクションにはなったでしょうか。これから先も気が付いたことがあれば書き加えていきたいと思っています。詳しくは本編でより具体的に紹介していきたいと思っています。

2006年12月


スチュアート率いる探検隊が踏破し、1950年代までラクダのキャラバン隊が行き交っていたトラック テナントクリーク近くにて


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