ガイド日誌

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2005年9月24日(土)

わかりやすいバス停

いやぁ〜、実にわかりやすいです。昨年のツーリングの際に南九州で出会ったバス停です。個人的にウケたので、思わず写真をパチリ。

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大雪山系でも、十勝岳連峰でも日々紅葉が進んでおります。しかしながら例年よりはイマイチっちゅ〜カンジかな?でも、十勝岳山麓のマツタケは豊作らしい。まさに宝の山でございますね。


2005年9月20日(火)

物欲台風は止まらない

いやね、物欲が止まらないんっすヨ。

ここ1週間で携帯電話を2台買い、1社を解約。わあああ〜!オレ、もうダメだ〜

左から、ボーダフォンの国際ローミング機、auの防水機、契約12年ついに解約したドコモ

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旭岳で早くも初冠雪だそうです。平年より1ヶ月近く早いのではないかな?


2005年9月18日(日)

もう、ワヤ・・・

ガイドの山小屋に来たことがある方ならばなんとなくご存知かもしれないが、店舗内の南側4分の1くらいがヤマやらナニやらの装備関係の整理場になっているんだけど、そこがいま修羅場になっている。 バッグやら工具やらザックやら水タンクやら寝袋なんかが大混戦で散乱して、一部はあきらかに店舗側にはみ出してしまった。自転車旅を準備中なのだが、何がなんだかゴチャゴチャで、もうワヤなのだ。

いまだ行き先をはっきり決めないまま、とりあえずフル装備の準備をしているのだが、そんなことしているうちに秋 は深まっていく。きょうは朝から冷たい雨の1日になった。

今年から自転車(MTB)が新しくなったことで工具類やスペア類なども一新された。これまでとはまず主要ネジのサイズが違うし、明らかに不要な工具もあれば新規に必要になったものもある。チェーンカッターなど衝動的についでに買っちゃったモノもある。交換品の準備も必要なのだがタイヤやブレーキがこれまでの旧MTBとは違うから、それぞれ規格にあったものを揃えなおす必要もあった。旅先でのマシントラブルの憂鬱は身に染みているから、このへんは細かくなり過ぎるということがない。だから入念にチェックしている。

それにしても、何も決まらないまま漠然と準備していることが災いして、全然進まないのだ。何日たっても店が片付かない。はっきりいうと、散らかった、だらしない店というカンジになってしまっている。

今朝、ボク的には重大な衝撃が走った。朝はやく起きてインターネットで、なんとなく行ってみようかなあ、なんて思っていた国の交通法規などを調べていると、なんと

「ヘルメット着用義務」なんだという。

なんだって〜・・・!!!???

ボクはカブリモノが苦手なのだ。

 

僕も20年歴のオートバイ乗りなのでヘルメットに抵抗があるわけではないのだが、しかしヘルメット被ってチャリ、という、そういう本気モードはどうも苦手なのだ。だいいち暑苦しい。それに、

「オレ、本気だもんね」ふうの、あの気構えにも抵抗がある。最近のチャリ乗りはかっこいいヘルメット被って、かっこいいサングラスかけてピッチピチのウェアを着込んで颯爽と走ることが主流になりつつあることは知っているが、しかしながら僕は第一世代のチャリダーなのだ。それどころか僕がオートバイに乗り始めたころ、50ccバイクはまだヘルメット不要で、気楽に乗れた時代だったのだ。そんな育ちが災いするのか、チャリは、ただただ気楽にいきたいと思うほうなのだ。僕はいつものナイキのキャップでさわやかに走りたいのだ。

まじかよ。ヘルメットかよ。

なんだか一気に萎えてしまった。どうしてくれよう・・・

え〜、みなさん。ママチャリだって自転車ですよね。ヘルメット被ってママチャリに乗れますか?僕にとっては、たとえMTBであっても山中を本気モードで爆走しない限りは、ヘルメット着用にはやはり抵抗があるんだなぁ。

だって気楽な乗り物なんだもん。


2005年9月8日(木)

我が家にモモンガがやってきた

ええ、モモンガですよ。あの、かわゆいやつ。

それはきょうの夜のことであります。明日は晴れそうだっていうことで、夜のうちからレンタル自転車の準備などを行っていたんです。そうですね、9時か10時くらい。駐車場灯をじゃかじゃか灯けて、まるで夜間営業のスーパーの駐車場みたいだったと思います。

めいっぱい明るくするとね、いろんなモノがやってきます。まず虫ですね。蛾とか、得体の知れない羽虫とかいっぱいきます。それから有名どころではクワガタ。ええ、あのクワガタ虫ですね。今年はムシキングがブレイクしましたから、小学生に「うち、クワガタいるんだぜ〜」みたいなこと言うと目を輝かせます。

ほかにやってくるのは人間。ヒトって面白いですね。ゴミゴミしていることや込んでいることに嫌悪感を持つ割には、なんとなくヒトのいるところに行きたがるんです。観光地が空いていると「寂しい」とか「何もない」とかいって否定的な感想を述べたりします。

ヒトは明るいところに集まります。そこにはヒトがいるような気がするんでしょうね。夜中に自転車などで走っていると、遠くに明かりを見つけると途端にホッとしますね。あの心境なんでしょうか。あと、夜な夜なネオンサインに吸い寄せられていく諸兄もまた同じなんでしょうか。

ええ、やはりこの日もやってきましたよ。ヒトがね。自然なことなんです。

「なにかあるのかな?」ふうのお散歩の観光客が、なんとなくぶらぶらやってきました。いちおう営業時間じゃないんです、みたいなこと言いましたから、またぶらぶら帰っていきましたが、何も言わないでおくと建物にススーッと入ってしまうこともあります。ま、コンビニ感覚っていうんですかね。

そうこうしているときに、頭上を何かが飛んだんです。一瞬、「コウモリか?」と思ったです。まあ、コウモリくらい珍しくはないですから。以前、なぜかコウモリが家のなかに入ってきて大騒ぎしたことがあります。ヤツはね、無音で飛ぶんですよ。ひらひらと。家中を無音で飛び回るんです。でも絶対に壁に衝突したりしないんです。そこが鳥と違いますね。鳥は興奮すると壁に激突して自爆しちゃったりします。ところがコウモリはちがう。無音でびゅんびゅん飛び回り、その割にはやたら冷静に見える。なんだかステルスな感じの不気味なやつです。

ところがね、今夜の飛来者はソレではなかったんです。そいつはすぐに姿を現しましたから。そいつの正体はね、モモンガだったんですよ。

そいつは僕の背後にあるヤチダモの木の上のほうからえいっっと跳び、そのまま僕の頭上、駐車場の上空を滑空して、駐車場入り口にある大きなアカダモの木に飛び移ったんです。でね、するするする〜っと幹を駆け上ったんです。そのとき見たんです。やつの顔をね。前述のように駐車場は昼間のように明るいですからね、よく見えました。

ええ、モモンガでした。

なんちゅうか、横目でね、こちらをチラチラとチラ見しながら幹を登っていくんです。なんじゃアイツは?みたいな目でね、こっちを見ている。ビー玉のような丸い目をしているんですが、これがクリクリしていて可愛いんです。ま、うちの娘にはかなわないんですけど。

モモンガは夜行性のリスです。手を広げると滑空に具合がいいように幕がぶわんと広がって、そうですね、パラグライダーみたいになるんです。高い木に飛び移ってするする〜って上のほうまで登っていって、とりゃ〜って飛ぶんです。滑空して、次の木に飛び移る。で、またするするする〜って登っていく。これを繰り返してドえらい遠くまで行ったりします。

美馬牛の自然もまだまだ捨てたもんではないですね。そう思いました。

ではでは。


2005年8月26日(金)

生活感とオートバイ

なんじゃそりゃ?みたいなお題になってしまった。まあまあ兄さん静粛に。これから語りますからね。

今朝、下の娘を保育園に送って帰ってくると茶の間には小学生の長女があわてて食べた朝食の残骸がありまして、朝食がまだだった僕は「やれやれ・・・」なんて呟きながら片付けをしようとしたんですが、長女の皿のうえに残された大量のブルーベリージャムに目が釘付けになったわけです。腹が減っていたんですね。

ええ、ええ。それを丁寧にスプンですくっては冷めてしまった自分のトーストに載せて、すっかり食べましたとさ。

なんというか、食べながら

「オレって、なぜこんなに生活感アリアリのおやじになっちゃったんだろ?」

な〜んて思いましたね。背中にはきっと悲壮感が浮かんでいたと思います。

べつに極端に貧乏なわけじゃないです。借金もないし生活には困っていないし、欲しいものは持ってます。強いて言えば6人乗りのヘリコプターと格納庫つき駐機場がほしいんだけど、裏の土地いっぱいに使っても間に合いそうもないからこれは夢です。(あ、もちろん半分冗談でっせ兄さん)家族には恵まれているし、仕事もまあ、ガツガツしない程度にうまくいってる。別に悲壮感に包まれる必要なんてないんですけどね。

なんというか、僕は思春期のころにこう思っていたんです。

「クールでスマートなかっこいいオヤジになるんだ」って。

ドイツの有名な車メーカー「BMW」のR100GSパリダカ、1990年型という、超かっこいいオートバイを持っているんですが、このバイクは当時の僕の憧れで、バイクがかっこいいというよりも、このバイクが似合う大人になりたいと、ずっとそう思い続けていたんです。このバイクは29歳のころに念願かなって手に入れました。滅多に乗ってないです。いまだ僕には全然似合わないから。

まあ、職業アウトドアガイドのなかにはあまりクールでスマートなカッコイイおやじは見かけません。9割のプロガイドは貧乏でピィピィいってますからクールでスマートなおやじなんてとんでもない。まず生活を何とかしなきゃ。いろいろ問題があるんですけど、この世界に入る人は一生貧乏暮らしをすることを覚悟しなきゃいけない。なんというか、そういう世界なんです。だから仕方ないです。

でも、山ヤさんにはたまにはカッコイイひともいます。しかし、そういう人はよく聞いてみると決して山命じゃない。好奇心旺盛でいろんなことやってる人です。山ヤではなく、つまりはスポーツ好きなひとです。そういう人はやっぱり同じ男から見てもカッコイイです。

クールでスマートなかっこいいオヤジ。そういう人は海辺の国道沿いなんかで自分のクラシックバイクを研きながらカフェなんかをやってる。あるいはうらぶれた都会の片隅で小さなカウンターバーをやってるんでしょうか。そんなイメージがありますね。僕のような土くさいひとは、きっといないよなあ・・・。

僕のバイクは相変わらず倉庫で埃をかぶっています。このまま朽ち果ててしまうのかなあ・・・。

美瑛は、はっきりそれとわかる秋の風が吹いています。夏の仕事が一段落したら、いろいろと余計なことを考えてしまうものなのです。

ではでは。


2005年8月23日(火)

雨あがり

お昼の気温が22度。本州の人ならば羨ましくて身をよじるのではないだろうか。しかし、僕らは去ってしまった夏の後ろ姿を探し求めて、少し寂しい気分になっている。

お盆がおわり、高校野球は駒澤大苫小牧が優勝して北海道じゅうを沸かせた。それを境にめっきり涼しくなった。 冷たい長雨があり、3日降り続いた雨があがったら、もうすっかり秋になっていた。

テレビではスタッドレスタイヤのCMが流れている。暖房器具のCMも始まった。そう、本州では人々が残暑でぐったりしているころ、僕らはそろそろ冬を迎える心の準備をはじめるのだ。

暑い暑いと文句ばかり言っていた夏だが、去ってしまうと、どこか寂しい。数日前に夏休みを四国の妻の実家で過ごした娘たちが帰ってきてから我が家はふたたび戦場のように騒がしくなった。ずっと入院している妻にかわって僕が朝食をつくり、着替えを手伝い、寝癖を直してやり、それぞれ学校や保育園に送り出す。子供たちの背中や肩に残された日焼けのあとは早くも薄くなってきたような気がする。夏がもう少し長くってもいいんだけどな。そう思うのだ。


2005年8月18日(木)

秋の気配

お盆がおわり、めっきり涼しくなった。暑い暑いと文句を言っていたら、それを聞いていた夏 が遠慮をしてしまったらしい。ある日を境にして急に涼しくなった。さわやかな北海道が帰ってきた。

秋を感じたのだろうか、庭に転がっている倒木や切り株には盛夏の間は何も生えてこなかったのだが、ここ数日は朝になると大量のキノコが発生しているのを見かけるようになった。薄い黄色をしたタモギタケという食用キノコで、味噌汁にしたり炒め物や和え物に用いる。歯ごたえがよく香りのいい美味しいキノコなのだ。

この時期、美瑛の丘ではあちこちにヒマワリ畑が出現する。あのヒマワリ畑は栽培用ではなくあの花自体が肥料にされるというものなので、花が咲いたら間もなく根こそぎ潰されてしまうのだけれど、刈り取り前の一瞬だけ見られる一面のひまわり畑は圧巻だ。

観光用の花畑もそこそこに美しいけれど、一切の予告も演出もない風景は格別で、その美しさは心にせまる。

いつ、どこに行けばヒマワリ畑が見られるのか、説明は難しい。あっという間に咲いてあっという間に刈り取られるので、うかつに案内できない。だから僕はいつも説明を避けている。

やはり予告なく出会う風景にこそ大きな感動があると思うので、これでいいのだ。こうして皆さんにはどしどし感動してもらおう。

ヒマワリといえば夏の花だが、美瑛のヒマワリ畑は夏の終わりから秋にかけてあちこちに出現する。ただしどこに出現するのかはわからない。どこの誰もそれを把握などしていないから畑の持ち主に聞いてまわるしかない。

山にはまだまだ残雪が残っているというのに、大雪山はまもなく紅葉の季節を迎えるだろう。あと1週間もすれば、十勝岳の登山口「望岳台」のあたりではマツタケが生えてくる。ええ、ええ、マツタケですよ、本物の。

待ち遠しい美味しい季節がやってくる。秋はすぐそこだ。そわそわそわ・・・


2005年8月12日(金)

暑いぞ北海道!

どうしたことか、冷夏だといわれた今年の夏なのに、やたら暑いのだ。7月中旬以降、晴れた日は連日のように最高気温が30度を超えている。僕は瀬戸内地方の出身だから暑さには慣れっこのはずなのに、暑くって参ってしまうことがある。なんだろう、この暑さは子供の頃の夏の思い出に繋がるものがあるなと感じるのだ。

僕が子供のころ、 夏の暑さといえばこれくらいだったように思う。30度をちょっと超えるくらい。海やプール遊びから帰る夕方ごろ、冷えた体に夕方の風が少しばかり肌寒さを感じたりしたものだ。最高気温が30度〜32度くらい。まさに今日の北海道(旭川地方)の気温そのものではないか。

よく言われることだが、やはり温暖化なのか。う〜ん・・・。

きょうも美瑛では朝から夏の太陽が照りつける。この暑さのなかでサイクリングをしようとは誰も思わないだろう。来店するお客さんもまばらだ。こんな日に坂の多い美瑛をサイクリングするなど、考えただけでゾッとする。ママチャリであれば観光どころではなく、ただの苦行だ。電動自転車だってエアコンがあるわけではない。こんな日は日陰で涼んでいたほうがいいに決まっている。

テラスのある喫茶店でうまいコーヒーを飲みながら読書をするのが、こんな日のいちばん素敵な過ごし方だ。意外かもしれないが美瑛には、テラスのあるカフェは少ない。短い夏と、ウッディな造りのテラスをあっという間に傷めてしまう豪雪があるから無理もないのだけど、夏の美瑛にこそ、テラスのあるカフェが似合うと思う。

  cafe Gosh 美瑛町美馬牛

 

現在、僕のふるさとは多くの地方都市と同様に最高気温35度を超えることが珍しくはなくなった。


2005年7月28日(金)

雨の日は休もう

ここ数日、中途半端に天気が悪い。天気が悪いとお客さんの出入りも減るので僕にとってはいい休息になる。

そんな僕だが、ガイドの山小屋を立ち上げてからしばらくの間は「雨の日が何とかならないだろうか」と、そのことに気を揉んできた。それは天候が業績に直結するという理由は勿論あったのだが、それよりも、やっと休暇をとって北海道にたどり着いた末に雨に途方に暮れるビジターたちがあまりにも気の毒だったからだ。

自分がサラリーマンだったころ、当然のことながら休暇は大変貴重だった。休暇に至るには気が遠くなるほどのさまざまな段取りが必要だった。同僚や先輩後輩に頭をさげてまわって自分の仕事の一部を頼み、取引先にも1件1件に挨拶に伺って留守中の担当者へと引継ぎをした。そういう段取りが完璧に行われたうえで上司の顔色をうかがい、漸く年に1〜2度取得できる貴重な数日。それが休暇だったのだ。それだけに雨に祟られた旅人の落胆は察するに余りあるものがある。おそらく、こんなことなら来なければよかったと思う人も多いだろう。休暇は年に1、2度のとっておきの特別な日なのに。

そんなサラリーマン旅人だったころの落胆をバネにしていろんな試みをやってみた。温泉&鍋パーティ、超穴場をめぐる濃厚な美瑛探検ツアー、旭川ラーメン食べ歩き山小屋ワゴンツアーなどなど、などなど。持ち前のバイタリティを総動員して色んなことをやってみたのだが、何年も試行錯誤した末に、近年になって何をやってもどうにもならないことが、ようやくわかってきた。

雨は恐ろしい。何をやってもポジティブ・シンキングに転換できないブラックパワーを秘めているらしい。ともかく何をやってもダメなのだ。たびたび前述のような「雨の日ツアー」なるものを企画していろいろやってきたけれど、どうやっても経費と労力ばかりが上回る。こうなってくるとボランティアに徹するつもりでないと、やりきれないばかりだ。しかし雨のたびにフル出勤でボランティア活動していては家計も体ももたないだろう。こうして雨の日は息をひそめることが多くなったわけだ。

さらに、なぜか雨の日に活動するとトラブルも多い。レンタサイクルひとつ取ってみても雨の中で貸し出すとロクなことがない。電話が鳴ると心臓が飛び上がる。そんなときの電話はロクなことがないと決まっているから。

ラフティングはどうだろう。どうせ濡れるから同じだとも思われるが、やはり晴れている日と比べたら満足度は半減する。いや半減ではすまないだろう。売上はあがるかもしれないが、これでいいのか、悪いのか・・・。よくわからない。水遊びもやはりいい天気の日にやりたいものだ。

今までの、たった10年足らずだけど、得たノウハウから言えることは、雨の日など荒天の日には無理をしないこと。これまで深刻なトラブルはほとんど全て、ちょっと無理をした場合に発生したから。

だから僕は、ともかく悪天候の日には何もしないことにしている。雨の日のイチバンの過ごし方は、だらだらゴロゴロすることだと思う。

では美瑛滞在中に停滞を与儀なくされたらどうするか?そりゃ絶対、吹上温泉に行ってダラダラするのがイチバンだと僕は思いますね、ええ。

雨のなかで入る露天風呂はいい。20歳くらいのこと、バイク旅の途中で台風に遭った。そのとき僕は宮崎県の「えびの高原」というところにいて、そこで停滞することになったのだ。その施設は湯治場で広い木造の広間に老若男女がゴロゴロと泊まっていた。冷たい山水をひいた炊事場があり、岩をくり貫いた露天風呂があった。

台風の夜に入った露天風呂はなかなか素敵だった。台風にも関わらず老若男女が風呂に浸かっていて、皆で世間話をしながら嵐の夜の風呂を楽しんだ。たしか、そこが気に入ってそのまま4日くらい滞在したように記憶している。星降るような夜にも露天風呂に浸かって過ごしたが、やはり台風の夜の風呂が楽しかった。きっと何十年たっても忘れられない思い出だ。


2005年7月17日(日)

海の日は山の日だった

海の日の連休に入り、美瑛近辺を訪れる人々の数がこの夏のピークに達したことを実感する。ともかくレンタカーの数が半端じゃあない。観光地の駐車場は軒並み満車だろうと思う。

きょうの十勝岳MTBダウンヒル、現地移動の途中で十勝岳の登山口「望岳台」に立ち寄ったのだが、あまりの車の数に驚いた。登山者の駐車は駐車場に入りきらず、かなり降りたところにまで延々と続いている。十勝岳へ登山に向かう人たちの車だろう。北海道の登山シーズンのベストは7月だという。きょうはまさに絶好の日というわけだ。海の日はまさに「山の日」なのだ。

美瑛も本格的な夏を迎えた。夏の旅の女性たちや家族連れやカップルが大勢やってくる。ガイドの山小屋もレンタサイクル業務がフル回転している。人気の電動自転車は10日くらい前から極端な品薄状態が続いている。11時から14時の間には品切れになることが多いくらいだ。山岳ガイドの僕は数年前までカヌーやラフティングツアーガイドもこなすマルチなアウトドアガイドだったのだが、今ではすっかりレンタサイクル屋になってしまった。ものすごく忙しい。でも、レンタサイクル屋もけっこう悪くない。

ただ、我が家は今ちょっと困ったことになっている。妻が入院してしまったのだ。しかし店は1年でいちばん忙しい時期を迎えている。妻はベッドに寝たきりで、ほとんど動けない状態だという。しかし入院以来まだ1度も見舞にも行かれないままだ。のしかかる2人分の仕事に朝6時から22時まで食料を買い出すためのほんの30分の外出の暇さえなかなか見つけられない。さらに乳飲み子と小学生をかかえて、僕の気分はまるで戦場に取り残された兵士のよう。なんだか1日1日をふらふら彷徨っているかのような日々。家族と仕事、両方を守りきれるのだろうか。今がヤマ場なのかもしれない。

 

ガイド日誌、しばらく休みます...

 


2005年7月7日(木)

きょうも寒い日

寒い日はヤル気がなくなる。

きょうは朝から冷たい小雨が降り、午後には雨は止んだものの、空にはどんより重たい雲がたちこめていて薄暗い。外の気温は13度しかない。7月7日、きょうは七夕だけど、このぶんだと星空は期待できないだろう。

こんな日は、なんとなくヤル気がなくなる。いっそ店を閉めちゃおうかと思うのだけど、それでも来られるお客さんもいるから閉めるわけにもいかない。でも、パラパラとやってくるお客さんもなんとなくヤル気がない感じで、グズグズしているし、やっと出かけてもあっという間に帰ってくる。

冷やかしの客にさえ活気がない、なんとなく入ってきて何となく出て行く。ただ、トイレだけはちゃっかり使っていく。

こんなに寒いと、何だかみんな生気がなくなるらしい。ただ、トイレットペーパーの消費量だけが異常に多いのだ。


2005年7月6日(水)

夏野菜 メイド イン ホッカイドー

夏だスイカだ。トマトだキュウリだピーマンだ。茄子だトウキビだ。僕はなんでも大好きだ。僕にはおおよそ食べ物に好き嫌いというものがない。

北海道はいま夏野菜が全盛だ。畑はもちろん、一般家庭の前を通りかかっても、たわわに実ったトマトやキュウリを見かけることが多い。

トマトなど、熟れてくると美味そうないい匂いが家の前の通りまで香ってきて、おもわず唾を飲む。

ぶら下がったでっかいキュウリを見ると、カリッ!と齧ったときのことを想像して、思わず震える。ピリ辛の金山寺味噌があればと思うと、もうたまらない。

あとはよく冷えたビールがあれば、ウハハハ。

食べ物の妄想は、なかなか楽しい。

新鮮な野菜に飢える長い冬の反動を埋め合わせるように、夏には生野菜を実によく食う。たとえばガイドの山小屋の食卓には、毎朝必ずトマトとキュウリがある。茄子は焼いたり煮たり揚げたり炒めたり、あるいは味噌汁に入れたりする。昨夜は牛すじ肉とキャベツとモヤシたっぷりのお好み焼だった。ウチのお好み焼は関西風なのに厚さが3〜4センチもあり広島焼に匹敵する。しかし、中身はほとんどキャベツなど野菜の厚さなのだ。

ともかく北海道の夏野菜はうまい。安いうまい安いうまい。だから毎日食うのだ。カリカリ、しゅわっ、もぐもぐ、バリバリ。明るい太陽をも一緒に食らう。

ガイドの山小屋の夕食後にはほとんど毎日、デザートにスイカを出す。野菜不足の埋め合わせだとか何とか言っているのだが、今の時期に野菜不足などあるわけがない。ただ好きだから食ってるのだ。

僕の家族は毎日のようにスイカを食うせいか、実に“お通じ”がいいのだ。たまに娘たち(姉妹)がそろって便秘になるのだが、そんなときはたくさんスイカを食わせる。こうしておけば翌朝にはバッチリだ。みんなスイカが大好きだ。

残念だが、そろそろアスパラガスの季節が終盤を迎える。そして、まもなくトウキビ(トウモロコシのこと)が出回り始めるだろう。これがまた美味い。新鮮なとうきびは軽く塩茹でして丸ごとかじる。新鮮なものであれば茹で時間3分で十分だ。大きなお口でガリッ!甘い汁が口いっぱいに迸る。

たまらないねぇ。


2005年7月5日(火)

寒い日 

ラベンダーの季節だ。僕がリハビリに通う旭川市内の病院の前の道路はラベンダー並木道になっていて、1週間ほど前からチラホラ咲き始めた花が次第にふえてきて、線香花火の軸のような茎のてっぺんに付く花がだんだん軸の下へ下へと数を増してくる。ようやく北海道にも、短いけれど賑やかな夏がやってきた。花火のような、一瞬の夏だ。

しかし、きょうは寒い。

寒い5月の鬱憤を吹き飛ばすように、6月は晴天とともにやってきた。雨が降らず、カラカラ天気の1ヶ月だった。7月に入ると同時に空模様があやしくなり、ついにきょうパラパラと雨が降った。いや、降るには降ったけれど、1時間もしないうちに止んでしまった。道路は再び乾いている。風がとても強い。

気温はいま13度しかない。まだ夕方の4時なのに。

ガイドの山小屋ではきょう久しぶりにストーブを燃やした。おいおい、7月だというのにストーブかよ〜。しかし、それがやむを得ないと思うくらい寒いのだ。

寒く、風が強く、今にも降り出しそうな重苦しい空模様。まるで辺境地のような厳しい天気だ。こんな日は自転車旅やバイク旅には辛いだろう。特に自転車旅に強風は大敵だ。バイクならばアクセルのひと捻りでビューンと走り去ってしまうけれど、自転車は向かい風を前にするといくらも前進できない。今日のような日はせいぜい移動距離60キロ。ふだんの半分以下に落ち込んでしまう。

暑いのは嫌いだけど、きょうのような天気をみていると、カーッと暑い夏のほうがやっぱりいいなと思ってしまうのだ。

ラベンダーもこの寒さに震えているだろう。はやく暑い日々に戻ってほしい。夏が寒いと、なんか損をしたような気分になってしまうから。


2005年7月3日(日)

ちいさな国際問題 

じゃがいもの花が咲き始めた。いよいよ夏も本番だ。しかし旅行者が増えてくるといろんな形で小さなトラブルも起こってしまう。

先日、ちょっとしたトラブルがあった。自転車で出かけた外国人の4人家族がカンカンに怒って帰ってきた。子供が乗る自転車が壊れたらしい。

見てみると、何のことはない。国境に関わらず腕白な男の子は少々腕白が過ぎることがある。その故障はそういうものだったのだ。しかし、これはあなたの息子さんの不注意なんですよ、という意味がうまく伝わらない。いや、そのうち伝わったようなのだが、依然として彼の怒りは収まる様子がなく、ますます真っ赤になっていく。僕も怒りが込み上げてくる。壊されたうえに逆キレかよ。喧嘩なら負けないぞコノヤロー。戦争勃発寸前だ。そのうち僕は冷静さを取り戻したが、 火に油を注いだわけだから彼の興奮はもう収まらない。後悔したが、これには困ってしまった。

そのうちに、ともかく強引に一旦彼を黙らせた。そして、伝わらないことを覚悟のうえで再度のコミュニケーションを試みたのだ。身振りをふんだんに使いながら僕の気持ちを懸命に訴えた。ボクのつたない英語ではまた誤解が生じてはいけないから、今度は日本語をふんだんに使って。

自転車が壊れたことは残念だが、子供は元気なのだから仕方がないと思う。ボクがつい怒ったことは謝る。あなたは、自転車を担いで運んだから疲れたのだ。僕は大切な自転車が壊されたことに傷ついたのだ。お互い様じゃないか。ともかく仲直りしよう。

これが、なぜか通じた。僕らはすっかり和解した。抱擁して、互いの無礼を詫び合ったのだ。 仲直りしてわかったのだが、彼は逆キレする性質の悪い観光客ではなく、家族思いの優しい父親であったにすぎない。ただ暑さでちょっと参っていただけだ。

戦争はささいなことから始まるのだろうと、この出来事で僕は妙に納得した。互いの主張を譲らなければ、あとは全面衝突するしかないのだ。こうして戦争が始まってしまうのだろう。国際問題なんて、もともとささいな喧嘩みたいなものではないのか。

日本人は伝統的に「譲歩」という精神文化を持っている。譲歩するこは相手を尊重するという意味である。それで誠意が伝わるということを日本人は知っている。日本という島国にすぎない小国の処世術が僕らの体には脈々と流れているのかもしれない。

かくして僕らは仲直りしたのだが、しかしながら僕らの「ニッポン国」はどうなんだろう。義を見失ってはいないだろうか。これからが少々心配ではある。

ところで、僕はどうやって彼を一旦黙らせることに成功したか?残念ながら、それは教えられないなぁ。


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